胸のしこりや痛み・乳がんセルフチェック

乳がんとは

乳がんとは乳がんは30歳から64歳までの女性に限定した場合、がんによる死亡原因として1位となっています。著名人の乳がんがニュースで取り上げられることも多く、女性にとって身近な病気だと言えます。

乳がんはセルフチェックを行ってご自分で発見できる可能性がある珍しいがんですし、早期発見して適切な治療を受ければ治る可能性も高いため、乳がんについての知識をもとに、正しいセルフチェックを覚えて早期発見につなげましょう。

乳房について

乳房には乳腺という組織があります。女性の乳腺は赤ちゃんにミルクをあげるために発達し、ミルクを作る小葉、ミルクを乳頭まで運ぶ乳管があります。
男性の乳がんも存在しますが、年間の死亡数でいうと女性の100分の1とかなりまれです。

乳がんの種類

乳房にできるがんであり、非浸潤がん、浸潤がん、パジェット病に大きく分けられます。

非浸潤がん

乳管の壁から発生するがんで、乳管の中を広がっていく乳管内進展が特徴です。患者全体の約20%とされています。

浸潤がん

乳がんの中でもっとも患者数の多いがんです。乳管の壁を破って乳管の外に広がります。

パジェット病

全体の1%未満とまれながんです。乳頭がただれるびらんによって発見されるケースがほとんどです。

触れてわかるしこり(腫瘤)のほとんどは浸潤がんです。非浸潤がんはわからないことが多く、発見にはマンモグラフィや超音波などの検査が必要です。乳頭のただれがある場合には、パジェット病を疑います。

乳がんリスクが高いタイプ

乳がんリスクが高いタイプ

  • 初潮が早い
  • 閉経が55歳以上と遅い
  • 初産年齢が遅い
  • 高齢で出産経験がない
  • 授乳経験がない
  • 血縁者で乳がんにかかった人がいる
  • 長期間のホルモン補充療法をしたことがある

乳がんの発生には、エストロゲンという女性ホルモンが関わっており、このホルモンにさらされる期間が長いと発症しやすいとされています。初潮が早く閉経が遅い場合、エストロゲンにさらされる期間が長くなるため、リスクが高いと言えます。

遺伝性の乳がんは、乳がん全体の5~10%程度ですので、血縁者に乳がんの人が多い場合は注意が必要です。

月経、出産や授乳、遺伝などが乳がんの発生に関わっており、高脂肪の食生活や肥満も乳がんのリスクを高めます。

乳がんの自覚症状

下記のような症状があったら、乳がんの可能性があります。必ず専門医を受診しましょう。
なお、早期の乳がんにはほとんど自覚症状がない場合もありますので、定期的な検診も重要です。

しこり

乳房だけでなく脇の下に現れる場合があります

ひきつれやくぼみ

乳房がひきつれたり、一部がくぼんで見えます

乳頭の異常

ただれ、湿疹、分泌物などが生じます

乳房の皮膚の異常

腫れやただれ、湿疹などが生じます

全体の変化

乳房が膨らんで赤みや痛みが生じてます

しこりは、触れてもあまり動かないことが特徴です。感触は硬い消しゴムやチーズに例えられます。
乳房と乳頭以外には症状がないため、乳房のセルフチェックが重要です。

毎月、決まった時期にセルフチェックしましょう!

毎月、決まった時期にセルフチェックしましょう!乳がんは、早期に発見すれば治る確率が高く、セルフチェックが有効です。20歳を越えた時点で乳がんのリスクは年々上昇していきますので、正しいセルフチェックを早めに覚えて、定期的にチェックを続けましょう。

また、自分で見つけられるしこりは2cm以上とされていますが、セルフチェックを繰り返しているうちに精度が上がり、1cmのしこりを見つけるケースも珍しくありません。がんが小さいうちに発見できれば、治る確率も高くなります。

セルフチェックは月に1度を目安に行います。乳房の状態は月経のタイミングで変化しますので、閉経前の場合には乳房の張りが少ない月経終了後1週間を目安に行うことをおすすめします。閉経したら、覚えやすい日を決めて毎月行ってください。

セルフチェック!!

見てチェック

変化がないかを見た目で確認するチェックですので、鏡の前でチェックします。頭の後ろで両手を組んで、胸の筋肉を緊張させ、乳房のくぼみやひきつれ、変形、左右の差、変色、ただれなどがないかを確認してください。

触れてチェック

感触でしこりがないかを指で確かめるチェックです。親指以外の4本の指を揃えて行います。小さな「の」の字をいくつも書くようにして、乳房全体とわきの下をチェックします。すべりを良くするとわかりやすいため、バスルームで泡をつけるなどして行うことをおすすめしています。

つまんでチェック

乳頭を軽くつまんでチェックします。軽くしぼるようにつまみ、分泌物や出血がないかを調べます。

仰向けチェック

横になって行うチェックです。背中の下に低い枕やタオルを入れて胸を高くします。親指以外の4本の指を乳房の外から内へと滑らせながら、しこりがないかを確認します。

乳房のしこりがすべて乳がんというわけではありません!

セルフチェックでしこりなどの異常が見付かった場合、乳がん以外の病気である可能性もあります。大切なのは、しこりが見付かったらすぐに専門医を受診して確定診断を受けることです。

セルフチェックで見つかる乳がん以外の病気

乳腺症

乳房のしこりで受診される中で、もっとも多い疾患です。しこりが動くことが大きな特徴になっており、乳房の痛みや乳頭からの分泌物といった症状も現れます。月経前に症状が強まり、月経後は改善します。
閉経後には改善するため、経過観察するケースがほとんどです。痛みなどの症状が強い場合には服薬なども検討します。

乳腺線維腺腫

乳腺組織が異常に増殖している状態で、腫瘍ではありません。女性ホルモンの影響で発症し、10代後半から20代という若い世代に現れる乳房のしこりのほとんどは乳腺線維腺腫です。弾力のあるしこりは、よく動くという特徴を持っています。あまり大きくなってしまった場合には摘出も検討されますが、ほとんどの場合、切除は必要ありません。

乳腺炎

授乳中に起こりやすい炎症です。うっ滞性乳腺炎は乳房の中にたまった乳汁によって炎症が起こり、化膿性乳腺炎では乳頭の傷などから細菌が侵入して発症します。しこりだけでなく、痛みや発熱、乳房の赤み、熱感などの症状が現れます。

それぞれ、症状の違いをご紹介しましたが、明快にわかることは少ないため、乳房に何らかの異常を感じたら専門医への受診が不可欠です。

当院では、女性の専門医が検査から診察までを行っており、安心してなんでもご相談いただけます。セルフチェックをマスターして毎月、しっかり行い、気になることがあったらすぐにいらしてください。

当院では乳腺エコー検査を専門の女性医師が行っております。

乳がんの早期発見には「視触診」が重要です

乳がんの早期発見には「視触診」が重要です視触診は、乳がんの検査で最初に行なわれるもので、「乳房の形に変化がないか」見る視診と、「乳腺やワキ下のリンパ節などに触れて、しこりの有無をチェック」する触診があります。

視触診の重要性

乳がんは、セルフチェックが大きく役立ちます。専門医による診察でも同じように、乳房の見た目や感触は非常に重要な情報となります。
視触診だけで乳がんの確定診断はできませんが、乳がんの可能性を考えた際に必要不可欠な検査です。経験豊富な専門医は、触れただけでしこりが良性か悪性かの見当をつけることも可能だとされています。海外では行われないことが多く、医師の能力にかなり左右されるため、日本ではあまり重視されない傾向にあります。当院では女性の専門医が診療を行っており、患者様としっかりコミュニケーションを取れる検査として重要視しています。

「エコー検査」

「エコー検査」エコー検査は、超音波を使った検査であり、マンモグラフィ検査と違い、放射線の被ばくがないため、妊娠中の女性も安心して受けることができる安全な検査です。
マンモグラフィ検査は乳腺の発達している若い女性の乳がんは見つけにくいという特徴がありますが、エコー検査はそうしたがんを見つけるのに適した検査ですので、エコー検査はマンモグラフィの欠点を補うことができると言えます。
エコー検査で得られる画像は、乳腺が白く、しこりは黒く写し出されるため、乳腺に邪魔をされることなくしこりの検出が可能です。ですから閉経前の女性に特に適した検査とされています。

なお、当院では必要に応じてマンモグラフィ検診のご紹介も行っています。